
山本七平(1921~1991)著。昭和45年(1970)、イザヤ・ベンダサン名で山本書店より出版。
「日本人は、安全と水は無料で手に入ると思いこんでいる」「全員一致の議決(もしくは判決)は無効とする」など、意表を突く内容で大ベストセラーとなった。第二回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。
日本教も同じでさまざまな分派がある。私の知っている範囲内でも、キリスト派、創価学会派、マルクス派、進歩的文化派、PHP派等々から、ちょうど二千年前のユダヤ教のゼロテース(右翼国粋派)から、もっと極端なシカリーまでいる。
日本教の進歩的文化派左派の浅沼氏を刺したのはまさに日本教シカリー派の一員であった。シカとは短剣のことで、短剣をふるって、意見を異にする左派的分派を暗殺するので、この名があったわけである。
ユダヤ人が庶民一人一人に至るまで、はっきりユダヤ教徒という自覚をもつに至ったのは祖国喪失の後である。事実、旧約聖書が最終的に編纂されたのは紀元九〇年のヤムニアの会議においてであり、タルムードの編纂はそれ以降である。
日本人はそういう不幸に会っていないから、日本教徒などという自覚は全くもっていないし、日本教などという宗教が存在するとも思っていない。その必要がないからである。
しかし日本教という宗教は厳として存在する。これは世界で最も強固な宗教である。というのは、その信徒自身すら自覚しえぬまでに完全に浸透しきっているからである。(日本教徒・ユダヤ教徒)